日本人は働きすぎている!?
スマートフォン長時間使ったり、デスクワークでパソコンを長時間したりしていると、眼精疲労の症状を感じたことはありませんか。日本人は働きすぎだという言葉をよく耳にします。「残業は当たり前」「有給休暇を取得しづらい」「一人ひとりの業務範囲が曖昧で、どんどん仕事をお願いされると断れない。」等の理由が挙げられます。日本では何十年も前から我慢や苦労をすることを美徳とする文化があります。頑張ることは良いことですが、自分の身体にどのようなことが起きているのか、どのような状態にあるのかを常に感じながら、そして健康について考えながら生活していくことが大事です。
眼精疲労とは?
長時間パソコン作業をしたり、スマートフォンをずっと見ていたりすると目の疲れを感じる人も多いと思います。そんな時、画面から視線を外して休んだり眠ったりすることで症状が治まる場合は疲れ目です。しかし、十分な休息をしても目の疲れや痛みが治まらない状態を眼精疲労といいます。
眼精疲労の症状は、
●目の症状
・目が重い
・目が痛い
・目がショボショボする
・光がまぶしい
・目がかすんだり、ぼやけたりする
・目が乾く
・目が充血する
・まぶたが痙攣する
●その他の症状
・めまい
・倦怠感
・首こりや肩こり
・頭痛
・やる気が出ない
・イライラ
眼精疲労はそのままにしておくと不快な症状が続きますので、原因を考えて対処していかなくてはいけません。一般的に眼精疲労の原因はいくつかの要因が重なって起きている場合があると言われています。
① 目を使い過ぎる
目の使い過ぎは眼精疲労の原因になると考えられています。目の周りには眼球やまぶたを動かす筋肉があり、頭を支える首や肩の筋肉とも連動しています。細かい作業を集中して行うと、その目の周りの筋肉が緊張して目の疲れを感じたり、ショボショボしたりします。さらに集中して瞬きの回数が減ってしまいますと目が乾燥して眼精疲労に繋がります。
② 目を使う時の部屋の環境
乾燥した部屋やエアコンの風が当たる場所などでパソコン作業をしていると、目が乾燥して眼精疲労の原因になります。薄暗い部屋で寝る前に明るいスマートフォンの画面を見る時に感じる光の刺激も目を疲労させます。
③ ストレスがある生活
精神的なストレスを抱えると、さまざまな体の働きを調整する自律神経のバランスが乱れます。すると涙の量や瞬きの回数が減少したり、筋肉が緊張したり、血液の循環の調節が乱れたりして体に影響を与えますので、それが眼精疲労に繋がることがあります。
④ 自律神経のバランスの乱れ以外の目や体の病
近視や乱視、老眼が進むと目のピントを合わせようと目の周りの筋肉が緊張して眼精疲労を引き起こすと言われています。眼球の表面が乾燥するドライアイや、緑内障、白内障など目の病気が眼精疲労の原因になっている場合もあります。目とは関係ない体の病気である脳神経疾患、高血圧、低血圧、糖尿病、風邪やインフルエンザなどでも眼精疲労の症状が出ることがあります。
◎特に、こんな症状があったら早急に病院へいきましょう。
・ひどい頭痛
・体の片側のしびれや違和感
・うまく話せなくなる
・他の人が話していることが急に理解できなくなる
・歩行など体を動かす行為が急に難しくなる
・吐き気や嘔吐
これらは脳梗塞や脳出血が疑われる症状です。
上記の症状が複数現れている場合は、すぐに救急で医療機関を受診しましょう。
脳の病気は、治療が遅れると命に関わる危険性があります。
⑤ 眼鏡やコンタクトレンズが合っていない
長い間、同じ眼鏡や同じ度数のコンタクトレンズを使っているといつの間にか視力と合わなくなっている場合もあります。度数の合わない眼鏡やコンタクトレンズを使い続けると見えづらさを調整するために目が疲労します。よく見ようと首が前に出て姿勢がわるくなることで、首こりや肩こりの原因にもなることもあります。
目の疲労対策について
目や体の病気から眼精疲労が引き起こされている場合もあるため、症状が重い時や長引く場合は病院を受診することが大事です。また長い間、眼鏡やコンタクトレンズの度数を計っていない人は、眼科や眼鏡屋で検査をしてもらうことも必要になってきます。それらを行った上で、次のような目の疲労対策を取り入れて日常生活を過ごしましょう。
休憩をとる
パソコンでの作業をする時は、1時間に1回10分程度の休憩時間を取り入れましょう。休憩中はスマートフォンなどを見ずに、遠くを見たり目を閉じたりして目を休めます。立ち上がってストレッチをするのもおすすめです。オフィス内で行うのが難しい時はトイレに立ったり、上に向いて首の体操したり、ずっと同じ体勢での座りっぱなしにならないようにしましょう。集中して画面を見ている時は瞬きも意識したり、寝る前に「今日は疲れたな」と感じたらホットアイマスクや蒸しタオルで温めるなどして、目をリラックスさせるようにしましょう。
アシュネル反射(眼球~心臓反射)
三叉神経→延髄→迷走神経を介する反射です。眼球を圧迫すると、副交感神経の迷走神経が刺激されて緊張が緩和されます。そして脈拍も落ち着いて動悸も鎮まります。長時間のパソコン作業後の休憩時やプレッシャーを感じる場面や緊張する場面などでしてみましょう。
- 椅子に座り、大きく数回深呼吸する。
- 目を閉じて両眼球をまぶたの上から指先で数十秒間、触るか触らないかぐらいの指先があたる程度の軽い圧迫をする。
- これを2・3回続けて脈拍を落ち着かせていきます。
(注) まぶたの上から指先で触る時に強い力での圧迫をしないように気を付けましょう。
睡眠を十分にとる
眠ってもなかなか回復しない症状の眼精疲労ですが、予防には睡眠が重要になってきます。睡眠は日中に使った目を休める役目があり、眠っている時は眼球の緊張が和らいでリラックスした状態になります。睡眠不足になると疲れが蓄積されてしまいます。目の疲れを取る為に、6~7時間は睡眠時間を確保しましょう。
目の運動をする
眼球を動かす運動で目の周りの筋肉をほぐして、目をリラックスさせましょう。顔は正面を向いたまま、両目を開いて、大きく時計回りに円を書くようにゆっくり眼球を動かします。時計回りの逆回転にも動かします。それを何度か繰り返します。
パソコン作業をするデスク周りの環境を見直そう
長時間パソコン作業を行う人は、デスク周りの環境を考えて見直しましょう。加湿器を置いたり、エアコンの風が直接当たらないように座る位置や風向きを調整したりして目の乾燥を防ぎます。部屋の照明は明るすぎず暗すぎず目の負担にならない程度に設定して、日差しが強い時はカーテンをすることも効果があります。部屋が暗い時はデスクライトも有効です。そして、一般的にディスプレイは顔から40cm以上、ワイド画面の場合は50cm以上離れるようにして、軽くあごを引いて自然に見える高さにディスプレイは設置しましょう。椅子も深く座った時に床に足がつくように高さを調節します。これらの対策はVDT症候群の予防にもつながります。
自分に合ったコンタクトレンズかどうかを確認する
コンタクトレンズは度数が合っていても、遠くを見るのに適したレンズで近くを見続けると眼精疲労につながります。コンタクトレンズを作る際に眼科の医師にパソコン作業などが多いことを相談して、使い方や種類を決めましょう。また長時間使用していると目が乾燥してドライアイの原因になることもあります。ドライアイは眼精疲労につながりますので、乾燥を感じたら眼鏡を使うことも考えましょう。あと老眼になると、ピント調節が利きづらくなります。そして、遠くはよく見えるのに、近くが見えづらいという状態になります。
VDT症候群(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)とは?
現代では、パソコン・タブレット・スマートフォン等のVDT機器を使用する場面が増えています。パソコン等のディスプレイやキーボードのVDT機器を長時間使用することで様々な症状が現れることがあります。ディスプレイを集中して見続けることによって、瞬きの回数が減りドライアイや眼精疲労の症状が現れます。その他にも、
・首こり、肩こり
・腕の痛みや痺れ
・手の痛みや痺れ
・腰の痛み
・頭痛
・めまい
・吐き気
・耳鳴り
・イライラ
・倦怠感
・疲労感
等の症状が現れることがあります。パソコン作業を行うデスクの環境や姿勢も見直す必要がある為、それらの環境を整えて予防を心がけることが重要になります。
老眼について
40代から始まる目の老化現象のことを老眼と言います。普段、近くのものを見るときは、目の中の水晶体というレンズを膨らませることで近くにピントを合わせます。しかし、年齢を重ねると水晶体が硬くなり、厚みを変える機能が落ちてくるのです。そうなると、近くをはっきりと見られなくなります。また、老眼を感じ始める時期は人それぞれで、いつから老眼を感じ始めるかは、その人の状態によって異なります。
・近視の場合は老眼を感じるのが遅い
近視の方の場合は、老眼を感じる時期は遅めです。近視とは、網膜より手前でピントが合っていて近くがよく見える状態をいいます。つまり、もともと遠くが見えづらく、近くは良く見える性質だといえます。そのため、近視の方は老眼になっても見え方がさほど変わらず、老眼になっていることに気付きにくいです。
・遠視の場合は老眼を感じるのが早い
遠視の方の場合は、近視の方に比べると老眼を感じる時期が早くやってきます。遠視とは、網膜より後ろにピントが合っている状態のことです。年齢が若い場合は、このピントの位置をピント調節機能によって自力で前に持ってくることもできます。そのため、遠視の方は遠くのものも、近くのものも、目に負荷をかけながら見やすくしているのです。しかし、老眼が始まりピント調節機能が低下すると、自力で調節しきれなくなります。その影響から、もともと見えていたものが見えづらくなるため、近視の方より老眼を早く感じやすいです。
眼精疲労のことを考える上で重要な目のしくみ
毛様体筋について
人が物を見るとき、眼はカメラのレンズのような働きをする水晶体の厚さを調節し、ピントを合わせています。この調節に関わっているのが毛様体筋という筋肉で、水晶体を引っ張ったり緩めたりしています。眼球の毛様体にあり内眼筋の一つです。パソコン作業のように、近くをじっと長時間見るような場合は、毛様体筋はずっと緊張していることになり、筋肉疲労を起こします。動眼神経が支配しています。
動眼神経
脳神経の一つです。第三脳神経で運動神経繊維と副交感神経繊維を含みます。運動神経繊維は眼球の上直筋・内側直筋・下直筋・下斜筋および上眼瞼挙筋を支配して、副交感神経繊維は毛様体と虹彩の平滑筋を支配します。
瞳孔散大筋
虹彩に放射状に分布する平滑筋で内眼筋の一つです。交感神経の支配を受け、この筋が収縮すると、虹彩が外側に引っ張られ、瞳孔が拡大します。
瞳孔括約筋
虹彩にあり、瞳孔を輪状に取り巻く平滑筋で内眼筋の一つです。副交感神経の支配を受け、この筋が収縮すると瞳孔が小さくなります。
脳幹
脳幹は、3つの部分に分けられていて大脳に近い側から、中脳、橋、延髄と間脳を合わせて脳幹と呼びます。小脳は橋の背面にのるように位置することから、脳幹は大脳と脊髄を結ぶ通路の役割も果たしています。間脳は、視床と視床下部に分けられます。視床は脊髄を通って送られてきた嗅覚以外の感覚情報を大脳に伝える中継点の役割があります。視床下部は、自律神経系と内分泌系の神経伝達の中枢です。脳幹では、中脳が視覚・聴覚の反射、橋では呼吸リズム、嚥下などの反射運動の神経伝達を担当しています。さらに、延髄は代謝・血液循環の調節に関係しています。生命の維持に重要な自律神経の中枢と関係するほか、呼吸、心拍、体温調節など、間脳・脳幹は生命維持に深く関わる重要な器官です。
平衡感覚を司っている小脳の影響でふわふわめまいを感じている!?
小脳は新小脳・古小脳・原小脳の3つに分けられ、新小脳は大脳から送られる運動指令を自動化して脳にフィードバックする働きをしていて、古小脳と原小脳は平衡感覚や筋からの情報を利用した姿勢の維持や、細かい運動調整に関与しています。また、手足や眼球などの運動動作は、大脳皮質に情報を送らずに小脳自らが脳幹や脊髄経由で直接筋肉に指令を送って調整しています。脳幹と小脳の働きが平衡感覚や自律神経を調節していますが、首が原因で不調をきたすことがわかりました。
まとめ
仕事だけではなく日常生活の中でパソコンやスマートフォンは手放せないものになっています。眼精疲労によるふわふわめまい等の症状に悩んで、デスク周りの環境を見直したり、眼科で診てもらって点眼薬を処方されたり、目に対してセルフケアをしたりしても、症状が改善しない方は脳幹と小脳の働きに影響を与える首に着目してください。
そして眼精疲労の治し方について「首に対して何をすればいいのか」「首に対してどこへ治療に行けばいいのか」等の悩みがありましたら当相談室へ相談してください。相談料金無料で承っております。
脳幹や小脳の働きが正常に機能することで、平衡感覚も正常になって眼精疲労からくるふわふわめまい等の症状も改善に繋がり、あと自律神経も正常に機能していきますので、毛様体筋等の目の働きを調節する機能も正常になって眼精疲労の改善に繋がっていきます。眼精疲労の根本原因を取り除き、快適な日々を過ごしましょう。