頸肩腕症候群(頸肩腕障害)とは?
頸肩腕症候群は、昭和30年代にコンピューターが導入されて、そこで働くキーパンチャーと呼ばれる人が、首・肩・腕の「こり」や痛み、そして手や指の痛みやしびれを訴えました。筋肉の疲労による症状と考えられており、長時間作業をやめずに続けていると、だんだんと首や肩に「こり」や痛みがでてきます。
慢性的な「こり」やだるさは、なかなか解消しません。鍼灸や整体やマッサージなどで一時的によくなっても、また元に戻ってしまいます。そして、さらに疲労がたまっていくと、しびれの他に冷えや力が入りにくくなったり、肩なども動きにくくなったりします。その他にも、不眠や食欲低下などの自律神経失調の症状やうつ症状なども現れることもあります。
頸肩腕症候群の症状と、症状が現れる人の特徴は?
首、肩、背中、肩甲骨周辺、腕、手などのだるさや痛みや痺れなどの感覚異常の症状のある人は頸肩腕症候群の可能性があります。具体的には、
- パソコンを長時間使う人や、腕や手を使う仕事が多い人
- 筋肉疲労を感じる人
- 姿勢がわるい人
- 精神的なストレスがある人
- 肩こり、首こりがある人
- 首や肩や腕等に痛みや重さを感じる人
- 首がスムーズに動かない人
- 上肢関節の可動域が狭く感じる人
- 腕や手に痺れを感じる人
以上の内容に当てはまる人は要注意です。頸肩腕症候群の疑いがある人は、その他に倦怠感等の症状も現れる場合もあります。
さまざまな職場の人の間で広まった。
VDT入力を含めてほとんどの事務作業の人達の間で広まりました。
- 事務作業労働の人
- 電話交換手
- 速記者
- 印刷産業の植字労働者
- デザイン関係の入力作業をする人
- 検査技師
- 歯科医師や歯科衛生士
- お札の勘定をする人
- スーパーのレジをする人
- 保育所の保母さん
- 施設で働く人
- ベルトコンベアー作業の人
- 学校給食の調理員
- 手話通訳者
共通していることは、一点に集中した反復作業を、速く正確に長時間行うことを強いられていることが特徴で、腱鞘炎になる人も多いです。
一般的に言われている原因は?
頸肩腕症候群の原因は、仕事による過労と言われています。
- 使いすぎで過労
- 筋肉を使って疲労が溜まっても、休憩をしないまま使い続ける。
- 運動不足で血液の循環が低下
- 適度な運動を行なうと、血液の流れがよくなるが、反対に全く使わないでじっとしていると、血液の流れが少なくなり、筋肉は減少していく。
- 精神や神経の疲れ
- 仕事への意欲ややりがい、職場での人間関係、家庭での悩みや心配事がある場合、精神的な疲れにより、健康に影響を及ぼす。
次に、西洋医学と東洋医学の原因についての考え方を見ていきましょう。
西洋医学で言われている原因
手の痺れは、血行阻害による血行障害、神経圧迫などによる神経障害などと考えられています。頚椎などに異常が見られない場合の原因は、首や肩、腕などの筋肉の緊張からと考えられることが多いです。それは、長時間同じ姿勢を取り続けるパソコンなどの事務作業や、手や腕を酷使する職業の方々によく見られる症状だからです。
肩などの関節を繰り返し動かす時に、痺れが変化する時は他の原因の場合があるため、整形外科で診察や検査を受ける必要があります。検査をしても原因が分からない場合には頸肩腕症候群の診断の可能性があります。
東洋医学で言われている原因
東洋医学的に手の痺れは、気血の滞りにより発症すると考えられています。ストレスや同一姿勢を長時間続けることも気血の流れをわるくする要因となります。気血の滞りが上半身に起こると、首、肩、腕などの筋肉の「こり」につながります。
人間は季節により、風(ふう)・寒(かん)・暑(しょ)・湿(しつ)・燥(そう)・火(か)という6つの気候の変化を受ける。それらを六気といいます。六気が激しく変化し、体の適応能力を超えるほど異常となり、発病の原因となる場合があります。このときの六気を、風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪(熱邪)と呼び、合わせて六淫といいます。
西洋医学での治療
肩や腕などの痛みや炎症がある場合は、無理せずに症状が治まるのを待ちます。痛みが出る動作をしないように気を付けたり、作業などに取り組む時間を減らしたりすることも必要になります。あと、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤を使うことがあります。その他に温熱療法・電気刺激療法・関節可動域改善訓練・肩のストレッチ・筋力強化訓練も有効になります。
状態によっては頸椎の牽引も行う場合があります。症状が強い場合、痛みの原因になっている神経の働きを抑える局所注射療法や点滴治療を行います。強い痛みなどの症状が治まった後も生活改善や運動療法などを継続して長期間かけての治療が必要です。
東洋医学での治療 鍼灸治療について
鍼灸治療では、痺れや痛みを引き起こしていると考えられる、首や肩の周辺の筋緊張や「こり」に対して施術を行い、気血の流れをよくして神経圧迫や血行不良を改善して症状の改善を目指します。原因がはっきりとしないで、治療を続けていても症状が改善しない場合は、精神的に落ち込むこともあります。その場合は、自律神経のバランスを安定させるような施術を加えることで、痺れの症状も軽減することがあります。
ツボを使った鍼やお灸、その両方の効果を一度に与える治療法の灸頭鍼(鍼の上にもぐさを乗せたもの)などを行うこともあります。
頸肩腕症候群の本当の原因とは?
ここまでの内容である西洋医学や東洋医学での治療をしてもなかなか症状が改善しない方は本当の原因に気付かなくてはいけません。よく「こり」が神経と血管を圧迫しているから自律神経のバランスが乱れていると考えられている人がいますが、そうではありません。だから、西洋医学の治療の消炎鎮痛剤や筋弛緩剤や電気刺激療法でもなかなか症状が改善しないのです。
あと、東洋医学の治療の首や肩の「こり」に鍼治療をしてもなかなか症状が改善しない方もいます。本当の原因を考える上で自律神経のバランスの乱れるメカニズムを知らなければいけません。
自律神経系の中枢は脳幹の視床下部
脳幹の中で第三脳室を囲む部位の間脳には、自律神経系の中枢である視床下部があります。脳から腕や手へ、神経がどのように分布しているのかということを考えると、自ずと本当の原因がみえてきます。首、肩、背中、肩甲骨周辺、腕、手などのだるさや痛みや痺れなどの症状の原因と、視床下部の働きが乱れる原因は「こり」ではない、体のある部位です。体のある部位とは首です。脳と神経のシステム上、首に不調があると視床下部の働きが乱れるので、自律神経のバランスも乱れると同時に、肩や腕などに「こり」・だるさ・痛み・痺れが現れます。
脳幹の視床下部が関わっているから、不眠や食欲低下などの自律神経失調の症状やうつ症状なども現れます。そして、これらの内容は首の「こり」が原因と言われている頚性神経筋症候群を疑っている方にも同じことが言えます。
まとめ
頸肩腕症候群は、首・肩・腕の「こり」や痛み、そして手や指の痛みや痺れの症状が現れます。その他にも、不眠や食欲低下などの自律神経失調の症状やうつ症状なども現れることもあります。
西洋医学や東洋医学での治療をしてもなかなか症状が改善しない方は本当の原因に気付かなくてはいけません。脳と神経のシステム上、首に不調があると視床下部の働きが乱れるので、自律神経のバランスも乱れると同時に、肩や腕などに「こり」・だるさ・痛み・痺れが現れます。
西洋医学や東洋医学では、「こり」が神経と血管を圧迫しているから自律神経のバランスが乱れていると考えられている人がいますが、そうではありません。本当の原因は首です。首に神経の圧迫する別の部分があります。そこに圧迫があると視床下部に影響を及ぼします。
これらの内容は首の「こり」が原因と言われている頚性神経筋症候群を疑っている方にも同じことが言えます。
頸肩腕症候群の本当の原因の首についてのより詳しい話や、頸肩腕症候群が改善する首への正しい治療の情報を知りたい方は、スマイルお悩み相談室へご相談ください。相談料金はいただきません。お電話お待ちしております。